2024年演算増幅器設計コンテスト

試作の部は、参加者が設計および試作した演算増幅器の特性を評価し、参加者の回路設計技術を競うものです。

作品情報登録方法

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要件

下記の点を満足する演算増幅器を審査対象とします。

  • フェニテックセミコンダクター株式会社0.6\mathrm{\mu m}CMOSプロセスにより作成された演算増幅器であること

  • コンテストで指定された0.62\mathrm{mm}\times 0.30\mathrm{mm}の長方形のレイアウト領域の内部に収まっているレイアウトであること

評価方法

どの回路特性が評価の対象になるかの詳細は、「審査対象となる回路特性」をご覧ください。

審査対象となる回路特性

審査時の測定回路や条件などは、2023年コンテストのシミュレーションの部・デザイン部門に準じます。 詳細は、デザイン部門概要をご覧ください。ただし、この概要に書かれている「電源電圧」とは正負両電源間の電圧を表し、\pm 2.5\mathrm{V}の2つの直流電源で回路を駆動することとしています。

測定時の注意点

作品提出前に測定を行なう場合には、次の点にご注意ください。

回路素子の選び方

抵抗器、コンデンサなどの回路素子は、素子値を測定して正しい値かどうかを確認してください。誤差の大きい素子を使った場合、審査における測定値と大きく異なる結果が得られることがあります。今回の測定では、素子値の真値との誤差として、抵抗器は\pm 1\%以下、コンデンサは\pm 10\%以下としてください。

電源

測定回路図に記載されているV_{DD}, V_{SS}, 接地点には、 上図のように直流電圧源を接続します。V_{DD}=2.5\mathrm{V}, V_{SS}=-2.5\mathrm{V}です。電圧源の向きに注意してください。

信号帯域に対して、電源のインピーダンスが十分に低くなるように工夫をしてください。 電源の配線を短くする、クリップやプラグなどの配線材の接触抵抗を小さくする、バイパスコンデンサを付加するなどが、 対策として良く用いられます。

直流利得

直流信号源と直流電圧計が必要です。

V_{in}0.1\mathrm{V}, -0.1\mathrm{V}の直流電圧を印加した時の 出力電圧をそれぞれV_{out+}, V_{out-}とすると、 次の式を用いて電圧利得Aを算出できます。

A = \frac{V_{out+} - V_{out-}}{0.1-(-0.1)}

-3\mathrm{dB}帯域幅

交流信号源とオシロスコープ、もしくはスペクトラムアナライザ(またはネットワークアナライザ)が必要です。

-3\mathrm{dB}帯域幅は、利得が1/\sqrt{2}倍になる周波数のことを指します。

  • オシロスコープを用いる場合には、入力信号振幅を0.1\mathrm{V}以下にして測定してください。大きな入力信号に設定すると出力信号がクリップして歪みが発生し、正しく信号振幅を測定することができません。

  • 入力信号・出力信号をオシロスコープで測定し、雑音の少ない正弦波となっていることを必ず確認してください。 市販の信号発生器の中には、小さい電圧振幅に設定すると歪みや雑音が大きく現れるものがあります。

  • 外来雑音の影響を抑えるため、測定機器と回路の間の配線は可能な限り短くしてください。

最大入力電圧

直流信号源と直流電圧計が必要です。

最大入力電圧は、出力電圧が飽和(クリッピング)しない入力電圧のことを指します。入力の同相入力電圧が\pm 0.1\mathrm{V}以上、出力電圧範囲が\pm 1\mathrm{V}以上必要です。

スルーレート

方形波信号源とオシロスコープが必要です。

スルーレートは、正相増幅回路の入力信号を1\mathrm{kHz}の方形波、電圧振幅\pm 0.1\mathrm{V}とし、出力電圧をオシロスコープで測定します。

出力電圧V_{out}-0.9\mathrm{V}に達する時刻を\left.t_1\right|_{V_{out}=-0.9}, 0.9\mathrm{V}に達する時刻を\left.t_2\right|_{V_{out}=0.9}と 表現し、立ち上がり遷移時間t_rと立ち下がり遷移時間t_f を次のように定義します。

t_r = \left.t_2\right|_{V_{out}=0.9} - \left.t_1\right|_{V_{out}=-0.9}
t_f = \left.t_1\right|_{V_{out}=-0.9} - \left.t_2\right|_{V_{out}=0.9}

これらを用いて、立ち上がりスルーレートSR_r 立ち下がりスルーレートSR_f を、次の式で算出します。

SR_{r}= \frac{1.8\mathrm{V}}{t_r}
SR_{f} = \frac{1.8\mathrm{V}}{t_f}

なお、出力電圧が\pm 1\mathrm{V}に達しない作品は、 参考データとして、正負の最大出力電圧の大きさをそれぞれV_p, V_nとし、 遷移時間t_r, t_f をそれぞれ次のように、V_{out} が最大出力電圧の 0.9倍に達する時刻から定義して、 スルーレートを算出します。

t_r = \left.t_2\right|_{V_{out}=0.9V_p} - \left.t_1\right|_{V_{out}=-0.9V_n}
t_f = \left.t_1\right|_{V_{out}=-0.9V_n} - \left.t_2\right|_{V_{out}=0.9V_p}
SR_{r}= \frac{0.9\left(V_p - V_n\right)}{t_r}
SR_{f}= \frac{0.9\left(V_p - V_n\right)}{t_f}

セットリング時間が長く、1\mathrm{kHz}の方形波で出力電圧が十分に収束しない場合はより周波数の低い方形波を使って測定してください。その際、入力方形波の立ち上がり時間が十分に短いことを再度確認してください。

消費電力

直流電流計が必要です。

演算増幅器の正負電源端子と電源との間に直流電流計を挿入し、 非反転入力端子を接地してV_{in}=0\mathrm{V}として流れる電流を測定します。

消費電力は、2 つの電流値のうちの大きいものと電源電圧との積から算出します。